交通事故を起こしたら、交渉を弁護士と保険屋のどちらに頼むべきか?

交通事故24

交通事故を起こした場合、人身や車体などの賠償について相手と交渉しなければなりません。任意保険に加入していれば、保険屋に交渉を依頼できる場合があります。しかしながら、交通事故に巻き込まれたら、全ての場合に保険屋が交渉をしてくれるわけではないのです。

保険屋に頼めない場合、当事者が自分で交渉するのは負担が大きいでしょう。こうしたときにどうしたら良いか解説します。

交通事故における示談交渉とはどんなものか?

交通事故を起こしてしまった場合に事故の賠償について相手と行う示談交渉という言葉は、自動車の運転者なら誰でも知っていることでしょう。示談交渉とは当事者同士の話し合いによりどちらの過失が大きいかを認定し、払うべき賠償額を決めることです。

当事者のどちらの過失が大きいか認定することを「過失割合」の算定と言います。示談交渉は法律事件を解決するため和解をする「法律事務」とされています。法律事務は原則として弁護士しか有償の代理を務めることができません。

弁護士資格の無い者が報酬を得て他人の法律事務の代理を行うことは、弁護士法第72条で禁じられています。

自動車保険会社に示談交渉の代理を頼める場合

物損事故に留まらず死傷事故に至った場合には、特に当事者同士の敵対感情が高まりやすく、示談交渉を当事者同士が行うことは好ましいとは言えません。また、過失割合を決めるのは非常に難しく、明確な基準について知識のない素人同士では解決が困難になるでしょう。

そこで、交渉が苦手な素人の当事者は示談交渉をプロの代理人に依頼する必要があります。

交通事故の当事者になった場合、自分が加入している任意賠償保険に示談代行サービスが付いていれば、原則として保険会社の担当者に示談交渉を依頼することが可能です。加害者となった場合、この担当者は弁護士でなくても構いません。

なぜなら賠償金を払うのは当事者ではなく保険会社自身なので、他人の法律事務ではなく自分の法律事務の交渉を行うことになるからです。このように、加害者側の保険担当者は代理人として被害者と交渉できるのは当然です。

また、被害者であっても過失割合が少しでもあれば、相手に対する賠償責任が生じるので、示談交渉の代理を自分の加入している保険会社に依頼することは可能です。

自動車保険会社に示談交渉の代理を頼めない場合

しかし、過失割合がゼロの被害者は、自分が加入している自動車保険の担当者に代理を頼むことができません。たとえば、赤信号で正しい位置に停止していた時に他の車がぶつかってきた「もらい事故」のケースを考えてみましょう。

このような「もらい事故」のように被害者の過失割合がゼロだと、被害者の加入した保険会社は賠償金を払う必要がありません。賠償義務のない保険会社が被害者の示談交渉を行うと、他人の法律事務を代理することになります。

これは弁護士法違反になってしまうのです。被害者は保険会社のサポートを得ることなく、加害者が加入している保険会社の示談交渉担当者と賠償金の交渉をしなければなりません。

過失割合がゼロの被害者の自衛手段

交渉の素人の被害者が、示談交渉のプロである保険会社の担当者と示談交渉をすることは極めて不利だと言えるでしょう。一方的に安い賠償額を提示され、有効な反論をできずに丸め込まれてしまう危険性があることを否定できません。

過失割合がゼロの被害者なのに、不利な交渉を強いられるのは不条理だとも言えます。そこで、被害者が有利な交渉を進めるにはどうしたらよいでしょうか?まず、交通事故紛争処理センターなどの公益法人に無料相談を申し込んで、相談担当弁護士のアドバイスをもらうと良いかもしれません。

中立的な立場から和解・あっせんも行ってくれます。

それでも解決できない場合には、訴訟を視野に入れながら弁護士を依頼する方法も考えなければなりません。弁護士を雇うには高額の報酬を払うリスクが生じますが、弁護士を雇うメリットもあります。

交通事故の示談交渉に弁護士を雇うメリット

弁護士は法律のプロなので、交渉術に長けていることは言うまでもありません。弁護士の中には交通事故を専門とする者もいるので、加害者側の保険会社の担当者に対抗する上で頼りになります。交通事故で死傷という重大な損害を被った被害者が事故の後始末をするのは大変なストレスで、弁護士にサポートしてもらうだけでかなり心理的負担が軽減されるでしょう。

また、弁護士に頼むと得られる賠償金の額も変わってくるのです。

保険会社の支払う賠償金の金額は、裁判の判例に基づき定められた任意保険の支払い基準に沿って決められることになっています。しかし、任意保険の支払い基準額は判例に基づくと言いながら実は裁判の判例よりもはるかに低く、被害者に不利なものになっている場合が多いのです。

弁護士が交渉する場合には、この任意保険の支払い基準を適用しません。裁判基準によって算定された額を請求するので、被害者には有利な賠償額となります。弁護士費用はかなり高額となりますが、交通事故でも特に人身事故の場合では賠償額が大きく、弁護士費用を差し引いても十分手元に残る場合が多いと言えます。

弁護士以外に交通事故の示談交渉に関する書類作成を行政書士が担当することがありますが、行政書士も紛争解決の代理人を有償で請け負うことはできないので、示談交渉に関われば常に弁護士法違反のリスクがあります。

弁護士に依頼できるよう予め備えておくにはどうしたらよいか?

過失割合がゼロの被害者となった場合に、自分が加入している自動車保険の示談交渉代行サービスを利用できないことは理解できたでしょう。ではもし被害者になった場合に、高額の報酬を払って弁護士を雇わなければならないのでしょうか?実は自動車保険に弁護士特約が付いていれば、改めて報酬を払わなくても弁護士を雇える場合があります。

弁護士特約は、加入者が完全な被害者である場合にも交渉の代理を行ってくれるというサービスです。この特約を附帯しておけば、過失割合がゼロでも自分で交渉する必要がありません。訴訟になった場合の委任費用もカバーしてくれるのが通常なので、大変便利です。

また、自動車保険とは別に弁護士費用保険に加入しておけば、過失割合に関係なく交通事故の被害者となった場合の交渉も代理してくれます。自動車保険に附帯する弁護士特約は交通事故に関する紛争だけが対象となりますが、弁護士保険は交通事故以外の民事トラブルのサポートをしてくれるので一般人には心強いと言えるでしょう。

電話で法律問題の無料相談もしてくれます。保険料も月額数千円で自動車の任意保険に比べてかなり安価となっています。